小説にみる、地震、津波、噴火
2011年1月に新燃岳が52年ぶりの爆発的噴火をした際にテレビで紹介されていた火山小説『死都日本』(石黒 耀)を図書館で借りて読みました。
霧島噴火により発生する大規模な火砕流や土石流に都市が襲われる描写は見事なもので、地学的な知的好奇心を十分に満たす作品でした。
続けて借りたのは同じ作者による『震災列島』。東海地震を題材とした災害小説というフレコミながら、地震を予知し津波を利用して復讐を果たすというメチャクチャな話で、地震や津波や原発事故をよそに、復讐決行で忙しいはずの主人公たちが長々と愚痴を零し続けるとんでもない作品でした。
これを読み終えた3月10日の夜は不満と苛立ちで安らかな眠りは訪れませんでした。
翌日の3月11日、世界は変わりました。
テレビに映る津波の光景は『死都日本』で主人公が逃げ惑う世界でした。
その後の原発トラブルでは『震災列島』のオヤジが「それ見たことか!」と利権政治を愚痴っているのが聞こえて来るようです。
日本各地で地震が起きるようになって届いたのが、石黒 耀の3作目『昼は雲の柱』で富士山噴火を題材したものです。
神話や古代史の謎解きという難解な話題が中心ながらも、火山学者とその娘の女子高生が主人公なため、前2作とは違って会話が軽快で楽しく読み進めることが出来ました。
富士山が噴火し、都心の帰宅難民や買い占めのシーンがありましたが、そんなものは今では現実となっているのでインパクトはどうしても弱い。どうもこの著者は1作目であまりにも大勢殺しすぎたので以降の作品では極力死人が出ないようにしているように思えてなりませんが、現実の悲惨さを知った今の読者はどうしても失望してしまうのではないでしょうか。
こんな時代だから石黒 耀さんの著書の予約がさぞかし増えているだろうと思って図書館の予約状況を確認したのですが、大阪市立図書館ではすぐに借りることができる状況です。



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